研究課題/領域番号 |
15K14208
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研究機関 | 工学院大学 |
研究代表者 |
中尾 真一 工学院大学, 公私立大学の部局等, 教授 (00155665)
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研究分担者 |
赤松 憲樹 工学院大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (50451795)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 化学工学 / 膜 / エマルション / 相分離 |
研究実績の概要 |
平成27年度は,膜乳化法を利用したミクロンオーダーの水性二相マイクロ液滴の調製法の開発を行った.ポリエチレングリコール(PEG)水溶液とデキストラン(DEX)水溶液を混合すると,高濃度領域で自発的に二相に分離する.このため,低濃度のPEG-DEX混合水溶液を分散相としたWater-in-Oil (W/O) エマルションを膜乳化法を用いて調製し,ここに高濃度のグルコース水溶液を分散相とし膜乳化法で調製したW/Oエマルションを混合すると,2つのエマルションの浸透圧差に伴い,PEG-DEX混合水溶液を分散相としたW/Oエマルションから,グルコース水溶液を分散相としたW/Oエマルションへ,水分子が油相を介して移動する.これにより低濃度のPEG-DEX混合水溶液は液滴中で高濃度となり,分散相内で二相に分離した液滴を得ることができると考えた. 油相に界面活性剤を含んだケロシンを用い,細孔径12ミクロンのShirasu Porous Glass (SPG)膜を用いてエマルションを調製し,2つのエマルションを混合したところ,2時間程度で水性二相マイクロ液滴が得られることが分かった.水性二相液滴が得られるまでの時間は,初期のPEG-DEX濃度などさまざまなファクターが影響を与えると考えているが,この点はまだ定量的に整理できていない. また,SPG膜の細孔径を小さくしても同様に水性二相マイクロ液滴を得ることができた.SPG膜を利用した膜乳化法では,エマルション径はSPG膜の細孔径の約3倍となるため,これは水性二相マイクロ液滴のサイズを制御することができることを意味し,意義は大きい.さらに浸透圧差を与える溶液として,グルコース水溶液の替わりに塩化ナトリウム水溶液を用いても同様に水性二相マイクロ液滴を得ることができた.これは化学種に依らず,浸透圧差を与え水分子を油相を介して移動させることが,本手法の重要な点であることを示すものである.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施計画通り,検討すべき課題を実施することができた.
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は順調に検討を進めることができたので,次年度も実施計画通り検討を進めていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究は順調に遂行することができたが,試薬・消耗品の使用が1年前の計画時よりはわずかに少なめであったためである.
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次年度使用額の使用計画 |
試薬・消耗品の購入に充てる.また研究は順調に進展していることから,計画の変更などは行わない.
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