研究実績の概要 |
本年度は還元剤の添加による効果、試料の表面形態の観察組成分析を補足的に行った。 Fe16N2の生成に適していると考えられる反応条件、温度200℃、圧力13 MPa。反応時間1.5 hについて、還元剤としてジメチルアミノボラン(DMAB)をFe(Cp)2と同濃度加えて試料の作成を行った。DMABの有無でXRD回折結果を比較すると、DMABを加えた試料の方が、Fe16N2の各ピーク強度は低下しており、またFe2O3の新たなピークも見られた。 反応条件200℃、13 MPa、1.5 hで作製した試料と200℃、13 MPa、5 hで作製した試料のSEM画像では、粒子は確認できなかった。超臨界二酸化炭素への溶解度(60℃、12.5 MPaで3.61 mg/L)15)を超過した量のFe(Cp)2(711.4 mg/L)を用いたために、未反応原料が多量に残存し、原料と有機物、酸化鉄、窒化鉄の凝集体であったと考えられる。 Fe(Cp)2とメチルアミンの組合せで作製した試料のうち、180℃、9 MPa、1.5h, 200℃、13 MPa、1.5 h, 200℃、13 MPa、5 h, 200℃、13 MPa、1.5 h、還元剤あり、の反応条件で作製した試料について、X線電光分光法による測定を行った。C単体やエーテル、ケトンなどの有機物や、CとNの結合、またFeとOなどの結合が確認できるが、この測定結果からは物質の断言まではできないかった。また、原料由来のFeのピークはXPS測定では現れない。そのため、未反応原料が多量に残存していうために、Feのピークが他に比べて小さくなったと思われる。
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