現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
モデル反応としてシクロヘキサンカルボキサミドの水素化によるシクロヘキサンメタノールとアンモニア合成を用いた。触媒検討としてまず、主金属のスクリーニング検討を行った。市販のカーボン担持貴金属触媒(Rh,Ru,Pt,Pd)を用いて検討を行った結果、活性・選択性の観点から、水素化の主貴金属としてRuが最も有効であることを見出した。次に、Ru/SiO2に対し種々の金属酸化物種MOx(M=Re,Mn,Co,V,Nb,W,Fe,Mo)を添加した触媒を調製し、第二金属検討を行った。MnOxを担持させたRu-MnOx/SiO2触媒がRu/SiO2触媒に比べ、活性・選択性が向上することを見出した。さらに、反応条件検討として、反応温度、溶媒、水素圧、基質濃度などの検討を行った。特に溶媒効果が顕著であり、各種溶媒検討の結果、水が最も有効であり、転化率60%で目的のシクロヘキシルアルコールを80%程度の選択性で与えることを見出した。また、反応温度を160℃から100℃に下げることで選択性は著しく向上し、反応初期選択性90%以上を示した。反応時間を72時間に延ばすことで、転化率85%、収率70%を達成した。この結果はこれまでに報告されている不均一系触媒の中で最も高い収率である。しかしながら、本研究を通した課題として、反応活性がまだ低いことと反応に伴い触媒活性の失活が反応経時変化の挙動から推察された。今後、更なる活性向上を目指し、触媒構造や金属種の検討を行うと共に、触媒失活を防ぐ方法を開発することが、重要な課題となる。
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