ベンゼンからフェノールへの転換を,過酸化水素を酸化剤として試みた。独自開発したチタノシリケートTi-MCM-68と同じ骨格をもつTi-YNU-2は,フェノール酸化に対して高い触媒性能を発揮するものの,ベンゼンの酸化に対する高い選択性は発現しなかった。そこで,アニソール,トルエンの酸化を検討した。Ti-YNU-2とTi-MCM-68はいずれも,TS-1やTi-betaといった従来型のチタノシリケートに比べて相対的に非常に高い活性とパラ選択性を発現した。加えて,シクロヘキセンのアリル位ペルオキシ化を目立って促進する触媒は,トルエンの酸化においてベンジル位酸化を促進する新事実が明らかとなった。
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