研究課題/領域番号 |
15K14234
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
田谷 正仁 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (60144127)
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研究分担者 |
尾島 由紘 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (20546957)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | メンブランベシクル / 大腸菌 / 動物細胞 / 糖鎖修飾 |
研究実績の概要 |
メンブランベシクル(Outer Membrane Vesicles; OMVs)とは,微生物の外膜から遊離した直径20~250 nmの細胞外小胞であり,外膜タンパク質やリポ多糖類・リン脂質によって構成される.OMVsは,これまで微生物細胞からの不要物の排出機能を担うとして考えられてきたが,近年ヒトを含めた哺乳類細胞への取込みならびに物質輸送体として機能することが明らかとなり,新規なナノバイオマテリアルとしての応用が期待されている.本研究では,大腸菌が産生するOMVsに対して,表層への糖結合タンパク質提示を介した独自の糖鎖修飾技術を構築し,種々のヒト培養細胞へのターゲッティング効果を定量的に評価する.さらに,糖鎖修飾を行ったOMVsへ生理活性物質を封入することで,正常細胞とがん細胞の混合培養において,がん細胞の選択的な増殖抑制効果を達成することを目的とする. 糖結合モジュール(CBM)に関しては,CBM30とCBM3の2つのタイプのCBMに関して,大腸菌の細胞外膜タンパク質OmpWとの融合タンパク質を設計し,大腸菌OMVs表面への局在を試みた.結果としては,融合タンパク質のOMVs表面への発現には成功したことをウエスタンブロット解析により確認した.しかし,FITC等の蛍光物質で標識したカルボキシメチルセルロースなどの糖鎖高分子と結合を評価したところ,CBMの有無により有意な違いが確認できなかった.今後は引き続きCBMに関して,OMVs表面での機能を保持した状態での発現を試みていく.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在までのところ,糖鎖結合タンパク質が機能を保持した状態で,OMVs上に発現できていない。OmpW以外の候補タンパク質を探索し,早急にOMVsの糖鎖修飾手法を確立する必要がある
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今後の研究の推進方策 |
現在までのところ,糖結合モジュールに関してOmpWと呼ばれる大腸菌の細胞外膜タンパク質を介してOMVs表面での機能化を試みているが達成できていない.これまでにOMVs修飾に使用された報告があるClyAなどのタンパク質と融合することも視野に入れて,引き続きOMVsの糖鎖修飾を試みる.
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた主な理由は、旅費が最初の段階で計上していた金額よりも抑えられたためである。なお物品費としては、ほぼ当初の計上通りの金額となっている。
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次年度使用額の使用計画 |
上記の理由で次年度使用額が生じたことを踏まえ、本年度はより積極的に対外的な研究成果発表を行う予定にしている。
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