本研究においては、三次元の位置及び時刻をパラメータとして航空機の飛行を制御する四次元航法において、予測飛行時間の不確かの管理の導入により目的地点への到着時刻精度を極限まで高める手法を明らかにすることを目的とした。予測飛行時間の不確かさおよび飛行時間制御のモデル化、およびそれらを活用した到着時刻の高精度化の手法を、理論とデータ解析により解明し、小型模型飛行機を用いた実験により実証することを計画していた。しかし、研究実施期間中の航空法の解析に伴い、小型航空機を用いた実験の実施が極めて困難となったため止む無く断念した。そして理論解析および運航データを用いた研究に重点を置くこととした。 まず運航データから意図をもって飛行していると推測される航空機のデータを抽出し、それらを用いて不確かさモデルを作成した。一方、理論解析により不確かさモデルを導出し、それに基づいて目的地点において予測される到着時刻の不確かさを最小とする手法を明らかにした。最後に運航データを用いた模擬実験により、目的地点における到着時刻精度の向上を実証した。さらに、予測飛行時間の不確かさが、速度などの飛行状況と風や気温などの気象状況にも依存することに着目した。運航データの状況を飛行速度および気象状況に基づいてクラスタリングし、それらのデータを用いて理論解析により導いた不確かさモデルのパラメータを決定した。これにより、飛行速度と気象状況に基づいて不確かさをより精密に予測することが可能となった。このモデルを活用することにより、気象状況に応じて安全性を損なうことなく効率的に航空機間隔を決定する等、四次元航法を用いた運航方式を発展させることが可能となる。
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