研究課題
本研究は、独自方式によって、近い将来の大型・高ペイロード比宇宙輸送推進装置として独自技術となる「ヘリコンプラズマ静電加速スラスター」を開発することを目的として実施された。プラズマ流の新しい加速方式として、応募者らの研究グループが考案し2014年に原理実証した、ヘリコンプラズマ源の下流に電極とカスプ磁場を配して静電加速するものを採用し、設定した推進剤流量、加速電圧に対するビームエネルギー特性、イオンビーム特性を取得し、本スラスターの作動最適化の指針を得た。推進剤利用効率、推力効率を評価し向上させるため、Retarding Plasma Analyzer(RPA)、静電探針、活用して、陽極形状、陰極(ホローカソード)位置、推進剤の化学種(アルゴン、キセノン)、質量流量、供給位置を変化させた作動最適化実験を行った。特に、リング状の陽極の内径を変化させるとイオン加速特性が大幅に変化することがわかった。推進剤流量が比較的低いときには、リング状陽極の内径がヘリコンプラズマ源の出口直径に近いほうが良好なビームエネルギー特性が得られた。このとき、実効的には陽極リングの内面が主要な役割を果たしていることが確かめられた。陽極内径が大きくなると、陽極内面よりも下流側側面の役割が大きくなり、その部分を絶縁体で覆うと、静電加速特性が極端に悪化した。また、宇宙空間でも使用可能な、マッチングボックスを設計、製作して作動試験を行ったが、大気中での予備実験の段階で異常発熱によって故障し、実験は失敗に終わり、熱設計についての課題が残された。
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IEEE TRANSACTIONS ON PLASMA SCIENCE
巻: Volume:44, Issue 3 ページ: 306-313
10.1109/TPS.2016.2522079