研究課題
本研究は超低軌道における高層大気を推進剤とする日本オリジナルのアイデアである大気吸入型イオンエンジン(Air Breathing Ion Engine, ABIE)について、その最重要技術と目されるインテイク技術に的を絞り、その設計指針について数値計算(プラズマおよび分子流)を援用して明らかにすること、さらに実際に試作したインテイクを、地上試験装置で利用可能なパルスビームを用いて実験的評価を行う方法を確立し、ABIEをはじめとする大気吸入型スラスターシステム全般の実現に向けての技術的最難関であるインテイク設計に指針を得ることを目的としたものである。平成27年度には、前者の数値計算的な手法でのインテイク設計とプラズマ生成効率最大化を目指した放電室の設計を行った。その結果、従来の配置に対してアンテナ形状の変更、メッシュ電極の増設、さらにコリメーターの装着が有効であるという結論を得た。平成28年度には計算結果の実験的な検証を行うため、1/4縮小モデルを設計・作製し、小型電離真空計を組み込んだ実験システムを構築した。平成29年度には、マイクロ波放電式イオンエンジン「μ10」に準拠した新形状のABIEのシミュレーションモデルへの変更と作成を行い、新しい計算モデルでもECR共鳴を正しく再現できていることを確認した。また1/3縮小モデルを用いた実験結果とJAXAによるモンテカルロシミュレーション結果を比較したところ、リフレクター表面での原子散乱を完全拡散反射とするよりも放電室圧力の増大が観察され、非弾性散乱モデルの部分的な適用が必要であることが明らかになった。本研究により、パルスビームを用いた地上実験でABIEインテイクの圧縮性能評価に一定の可能性が開かれた。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 8件、 招待講演 2件) 備考 (1件)
Diamond and Related Materials
巻: 79 ページ: 14-20
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http://www.space-environmental-effect.jp/index.html