研究課題/領域番号 |
15K14268
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
篠田 岳思 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80235548)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | スクラバー / 廃液処理 / 濾過処理 / 粒子法 |
研究実績の概要 |
世界的な環境保全の動向から船舶から排出される汚染物質に対して数々の規制が動きつつある。近々にはIMOの主機からの排ガス規制の強化から,主機の僅かな改良だけではルール対応が難しく,スクラバー等の排ガス浄化装置の使用への関心が高まってきている。排ガス浄化装置には大量の廃液が伴い,廃液を処理して再利用することなど最小化することが求められる。 当該研究室ではこれまでにバラスト水処理に関わる実験と艤装設計に関する研究を進めて来ており,この技術を用いて海洋環境保全のためのスクラバー排ガス処理装置の廃液処理技術の開発を目指す。 今年度は,廃液処理方式の実験による検討として,廃液中の煤塵除去処理の可能性について検討した。 廃液中のSS懸濁成分は100mg/Lと極めて高いが,初めに廃液処理後の再生水としての目標値を10mg/L程度として濾過処理方法について検討を行った。処理量を2ton/h程度の小型機を製作して濾過精度を確保しながら濾過処理量を増大させる方法について検討した。検討では有効性の高い濾過助剤として珪藻土,パーライト(ガラス発泡体),珪砂を用い,併せて助剤の再利用回数の向上について検討を行った。 また,濾過過程の粒子法による計算モデルの構築についても検討を進めた。従来ではDarcy則による濾過抵抗,透過係数による推定式を求め濾過状態を仮定して濾過量を求めてきたものに対して,ここでは,濾過過程の粒子モデルについて,濾材粒子,懸濁質を粒子として扱うための計算モデルの構築を図り有効性を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は,廃液処理方式の実験による検討として,廃液中の煤塵除去処理の可能性について検討したが,種々の濾過助剤による効果の把握ができ,再利用についての可能性について検討できた。実験結果の分析には,濾過処理前後の粒径分布をレーザー回析型粒度分析測定装置を用いた検討を行い,低濃度の場合についても検討を進めた。また,濾過過程の粒子法による計算モデルの構築についても検討を進め,計算モデルの有効性を確認し,現在までの計算限界と今後の計算方法の展望についても検討を行った。
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今後の研究の推進方策 |
廃液処理方式の実験による検討としては,さらに廃液中の煤塵除去処理の可能性について検討を進める。これには,濾過助剤については,再生性の高い珪砂を用いるが,種々の粒径について実験的な検討を進める。また,懸濁質である煤塵の模擬粒子についても検討する。 また,濾過過程の粒子法による計算モデルの構築については,目詰まりによる懸濁質の濾過量についてある程度推定が可能になったが,計算に精度に課題があるため精度向上を図る。また,粒径の分布への考慮や,濾過流量の推定についても検討を進める。 これらの実験とシミュレーションを通して,廃液浄化システムの設計について検討を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入を予定していた実験機器のフィルター部品製作が間に合わなかったため,次年度に繰り越して実施する。
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次年度使用額の使用計画 |
フィルター部品製作を行い実験を実施する。
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