研究課題/領域番号 |
15K14275
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
笹木 圭子 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30311525)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 生体鉱物 / リチウムイオンシーブ / イオン交換 / 集積化 |
研究実績の概要 |
低結晶性バーネサイトを真菌により合成し、Li/Mn比を厳密に考慮しながら、バイオバーネサイトを前駆体として焼成し、マイクロチューブ型リチウムイオンシーブ(スピネル型H1+xMn2-xO4)を合成した。焼成条件はTG/DTA曲線を参考としながら、昇温プログラム(温度、温度上昇速度、維持時間、冷却条件)を検討した。TG/DTA曲線から顕著な重量減少が起こるのは、三つの温度帯があり、100-150度Cの脱水反応、250-350度Cの有機物分解反応、450-550 度Cのマンガン酸化物の相転移反応であるため、450-550 度Cにて2時間維持し、自然冷却とした。炭素繊維不織布上でのバイオバーネサイトの焼成は、炭素不織布の二次元構造の維持を妨げ、集積化の方法をアルギン酸ビーズゲルへの埋包法に切り替えた。これによって、ナノ粒子のスピネル型H1+xMn2-xO4は高分子ゲル中に分散し、2~3mm径のビーズ中に閉じ込めることができた。ビーズ内に粉末吸着体はよく分散されていることが、走査電子顕微鏡観察および元素マッピングにより確認できた。ビーズ化された吸着体に対して、リチウムイオンの吸着速度および最大吸着容量を室温にて求めた。リチウムイオンの最大吸着容量は24.7 mg/g-HMOであり、アルギン酸ビーズ埋包前の粉末吸着体の値とほぼ同等であった。空試験によって、アルギン酸ビーズ自体はリチウムイオン吸着容量はほとんどもたないことを確認した。一方、吸着速度は擬二次速度式に従い、初期濃度18 ~50mg/Lのときの速度定数は2.0~9.0 x 10-3 g mg/minであった。この速度は粉末吸着体に比べるとかなり遅いとはいえ、リチウムイオンシーブが具備すべき何度も吸脱着を繰り返すことを前提とした分離性の向上に、高分子ゲル埋包技術は大きく貢献する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
炭素材料の大気下焼成は材料を脆くしたため、当初の集積化方法を高分子ゲル埋砲包法に変更したものの、二年度目に予定していた集積体のキャラクタリゼーションがほぼできている。
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今後の研究の推進方策 |
高分子ゲル埋砲型リチウムイオンシーブに対して、地熱水や海水を想定した、高温での吸着等温線の獲得、イオン選択性の検討、化学再生の検討が必要である。
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