研究課題/領域番号 |
15K14276
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
佐々木 久郎 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60178639)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 資源開発 / 石炭 / 急速加熱 / ガス化 |
研究実績の概要 |
本研究の実施者らが、過去に製作したガスレーザーを用いた耐圧1.6MPaの石炭の急速加熱実験装置のプロトタイプを改良し、新たに耐圧3.0MPaの耐圧セルの設計・製作を実施した。とくに、レーザー光のパワーを従来の5Wから10Wに増加させ、かつ耐圧を3.0MPaまで上昇させるため、光学フィルターにおける放熱特性を改善した窓部の改良を行い、レーザー照射による熱応力の軽減を図った。また、加熱セルの可視化性を高め、かつ耐圧性(耐圧3.0MPa)と破損時の安全性を確保するため、高透視性の材料を新たに利用し、耐圧可視化セルを改良した。これらの製作した小型実験装置における石炭試料の加熱に関わる予備試験を実施し、可視化性などについての調整を行い、最終的に本改良実験装置が適切に石炭試料の急速ガス化試験に適用できることを確認した。 バンドン工科大学と遼寧工程技術大学の協力を得て、低品位炭のサンプル試料を入手し、試料の成分分析を実施するとともに、石炭水分の保持方法などについての予備試験を実施し、実験装置の全体システムの構築を検討した。 平成27年度の研究成果として、開発した実験装置および入手した石炭サンプルを用いて加熱実験を実施し、ガス分析装置およびデータ収録装置を含めた実験システム全体の運用性を確認しながら、3種類の水分調整を施した石炭試料について測定した結果、初期水分量が多い場合において水素ガス生成が乾燥した試料よりも多く発生することが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度においては、研究計画として予定した3MPa耐圧の石炭急速加熱・ガス化実験装置とその測定システムを構築できたことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度においては、開発した実験装置と測定システムを用いて、高濃度CO2ガス雰囲気において、酸素濃度を制御した実験を実施する。実験におけるセル雰囲気は、大気圧下で一定量の空気を注入した後に、外部のCO2ボンベからセル内にCO2を圧入する手順を採用する。CO2圧入によって雰囲気中の酸素濃度は反比例的に低下するが、空気または酸素分圧(モル数)を一定とした条件で実験を実施する。さらに、実際の石炭試料の急速加熱によるガス化反応特性の実験結果のヒストリマッチングを実施し、石炭の燃焼反応に関わる数値モデルの構築を実施する予定である。
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