研究実績の概要 |
本研究ではマイクロ波周波数コムを用いた前方/後方散乱計測により密度乱流揺動の波数スペクトルを高時間分解能で多点計測することを目的とする。最終年度となる29年度は(1)真空容器壁等からの反射波除去の検討、(2)PANTAにおける密度がピークしたプラズマにおける後方散乱計測、(3)他のプラズマにおけるディジタルフィルターバンク法の適用、を行った。以下に概要を示す。(1)真空容器壁等からの反射波は散乱波と干渉し、計測信号に大きな誤差を生じうる。本研究ではマイクロ波をO-mode入射している。ホーンアンテナによる検出は反射波由来のX-modeをある程度除去可能であるが、より強く除去するためワイヤーグリッドポラライザーの挿入を検討した。プラズマとアンテナとの距離を離したくないので、真空容器内設置型のポラライザーを設計した。(2)PANTAにおいて強磁場(0.15T), 高パワー(6kW)の実験時に径方向に局所的に強い密度勾配を持つ構造が現れた。このプラズマの後方散乱計測に成功した。散乱波はプラズマ流れによるドップラーシフトを受けており、ここからプラズマの周方向流を評価したところ、流れ方向が1cm程度で反転し、シア流を形成していることを示唆する結果が得られた。誘起蛍光法によるクロスチェックを進めた。(3)本研究におけるマイクロ波周波数コム散乱計の心臓部である高速ストレージオシロスコープによりディジタル的にフィルターバンクを構築する手法を他のマイクロ波プラズマ計測に適用し、本手法のさらなる検証を行った。
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