前年度、北大で合成したダイヤモンドがAs grown状態では共焦点レーザー走査型蛍光顕微鏡で測定した場合、ほとんどNV発光がみられないことを確認した。 今年度は窒素濃度の異なる試料を準備して、中性子照射もしくは電子線照射をおこなった上で共焦点レーザー走査型蛍光顕微鏡による測定をおこなった。 現在、どの程度の検出感度が得られるか解析中ではあるが、SIMSの測定下限(0.数ppm)以下の窒素ドープされたダイヤモンド試料に対して中性子(1MeVピーク、1×10^12n/cm2)、電子線(2MeV、2×10^17e/cm^2)照射を行った後、アニール処理を行ったところ、それぞれNVセンターが観測されており、測定方法の原理検証には成功したものと考えている。 低窒素濃度試料ではダイヤモンド中におけるNVセンターの分布が観測されており、合成開始直後もしくは合成修了間際のいずれかで窒素とりこみ量が増えていることがわかった。またNVセンターの少ない部分では単一発光の計測にも成功しており、当初もくろみどおりアトミックレベルの計測が可能であることは実証した。 窒素ドープ量が数10~100ppmの試料ではNV発光が強すぎ、協焦点レーザー顕微鏡ではNVの個数を数えることが出来なかったものの、普通のPL装置で測定できる可能性が明らかとなった。まだ定性的ではあるが、ダイヤモンド試料中にドーピングする窒素量をコントロールすることにより従来手法よりダイナミックレンジに勝る線量計測手法となる可能性が明らかにした。
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