研究課題/領域番号 |
15K14287
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
島添 健次 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70589340)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | ヨウ化ストロンチウム / コンプトンカメラ / SrI2 |
研究実績の概要 |
福島第一原子力発電所事故後の137Csおよび134Csによる福島県内の汚染及び除染効果の評価やシビアアクシデント時の線量モニタリング技術の開発が必要とされている。これまで無人ヘリによる撮像カメラの開発を行ってきたが、本研究では更に高位置分解能が可能なヨウ化ストロンチウムシンチレーターのコンプトンカメラへの適用を目指す。 本年度は高解像度マイクロUAV搭載型コンプトンカメラの試作開発を行うため、10mm角のキュービック型ヨウ化ストロンチウムシンチレーターの開発および半導体光検出器との接合による特性評価を行った。10mm角ヨウ化ストロンチウムのパッケージング技術の開発を行ってきた。10mm角APDとの接合により3.4%程度の高いエネルギー分解能を得られることを確認した。また高感度光センサであるSiPMとの接合により4.4%程度のエネルギー分解能が達成可能であることを確認した。最適なエネルギー分解能を得るためには3micro秒程度以上の波形整形時間が必要であることを確認した。 ヨウ化ストロンチウムは密度4.6g/cm3および発光量80000photons/MeV以上の特性を有しバックグラウンドの少ないシンチレーターであり、半導体光センサとの接合試験を行い、基礎的な特性を確認した。これにより今後コンプトンカメラとして利用可能であることを確認した。また潮解性が高いヨウ化ストロンチウムシンチレーターに対するキュービック型のパッケージング技術を開発した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
福島第一原子力発電所事故後の137Csおよび134Csによる福島県内の汚染及び除染効果の評価やシビアアクシデント時の線量モニタリング技術の開発が必要とされている。これまで無人ヘリによる撮像カメラの開発を行ってきたが、本研究では更に高位置分解能が可能なヨウ化ストロンチウムシンチレーターのコンプトンカメラへの適用を目指している。 本年度は、マイクロUAVへの搭載のため非常に軽量なシステム(<2 kg)を作成する必要があるため、APD (Avalanche Photo Diode)およびSiPM (Silicon Photomultiplier)との接合試験を主に実施した。 APDやSiPMとの接合および実装においてはキュービック型の形状が求められるため、潮解性の強いヨウ化ストロンチウムシンチレーターのパッケージング技術の開発を行った。0.2%程度の低湿度状態でのパッケージングを実施し、10mm角サイズの立方体型のシンチレーターの試作製作を実施した。これにより良好なエネルギー分解能を達成していることを確認した。APDとの接合では3.4%、SiPMとの接合では4.4%程度を達成可能であり、十分な性能を有していることを確認した。また実環境での使用を想定して、最適な波形整形時間や温度依存性などの基礎データを取得した。 またマイクロUAVの基本的な動作を確認した。これによりマイクロUAV搭載型コンプトンカメラの基本的な要素技術の確立が完了し、順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度までに開発してキュービック型のヨウ化ストロンチウムシンチレーターを用いて、4x4アレー型のシステムを2層構築し、dynamic TOT方式の回路系を組みわせることで超軽量型のコンプトンカメラを製作する。開発したコンプトンカメラを用いて137Cs線源を用いた、空間分解能やエネルギー分解能評価を実施するとともに画像再構成ソフトウェアの改良を実施する。これにより2kg以下の超軽量コンプトンカメラを試作開発する。 開発したコンプトンカメラをJAEAの協力のもとにマイクロUAVへの搭載および一定高度からの点線源撮像を行う。また基礎特性評価後、実地での試験を行いサブメートルの空間分解能が達成されていることを検証する。マイクロUAVでの飛行に関して近年制約が発生しているため、JAEAと相談しつつすすめることとする。
|