研究課題/領域番号 |
15K14296
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
沖中 憲之 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (20250483)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 潜熱蓄熱 / PCM / ガラス化 / 熱輸送 |
研究実績の概要 |
潜熱蓄熱材(Phase Change Material: PCM)は物質の固液相変化潜熱を利用し,高密度蓄熱,変動熱源の恒温熱源化が可能である。しかし,従来の潜熱蓄熱法は長期間の蓄熱・熱輸送が不可能であり,液体状態のPCMで蓄熱するため,PCMの漏出防止のためのカプセル化が必須であった。 一方,物質を液体状態から特定の冷却速度以上で急冷すると,過冷却状態を経て「ガラス状態」に転移する。ガラス状態は非晶質で,外部刺激等で意図せず解除されることはなく,物質によっては非常に長い期間(数年単位)であっても,そのガラス状態を維持することができる。さらに,ガラス状態は,ガラス転移点以上に昇温することで,容易に解除でき,結晶化潜熱を放熱可能(利用可能)である。 本研究では,このガラス化現象を蓄熱に応用した潜熱蓄熱法を提案する。すなわち,液体PCMを急冷し,ガラス化させ,ガラス化=疑似固体状態で蓄熱することで,次の革新的特徴を提供する。 1) ガラス状態で長期間(数年単位)蓄熱が可能,2) ガラス転移点以上の熱を与えるのみで,必要な時・必要な場所で(結晶化潜熱を)放熱することが可能,3) 「ガラス化=疑似固体状態」なので,PCMのカプセル化が不要(カプセルフリー)で蓄熱,熱輸送が(従来の顕熱蓄熱のノウハウの利用も)可能。 本年度は,提案しているガラス化利用型PCMを用いた熱輸送プロセスの設計について検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施計画であげた28年度の研究項目に関して,使用予定の現有設備の故障から実験の進捗が思わしくなかったが,29年度を予定していたシミュレーションを前倒しで実施したので,全体としてはほぼ目標を達成した。
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今後の研究の推進方策 |
今後も研究実施計画通り,提案型PCMを用いたプロセスの設計に関して検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
現有設備の付加装置の購入を予定していたが,設備が故障し修理・復旧に大幅に時間がかかるため,付加装置の購入を見合わせた。
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次年度使用額の使用計画 |
設備の修理状況をみつつ,付加装置購入による実験の再開の場合は装置(設備費)および消耗品費として使用する。修理が間に合わない場合は,外部委託測定・分析費,装置リースの経費として使用する。
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