研究課題/領域番号 |
15K14298
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
遊佐 訓孝 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60466779)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 電磁非破壊検査 / マイクロ波 / モード変換 |
研究実績の概要 |
解析環境を整備し、配管内にTEM及びTEモードを支配的に伝播させるためのマイクロ波入射方法について、詳細な3次元有限要素法解析を実施した。数値解析の結果、同軸管に対しては、管側面複数の箇所から最小の遮断周波数以下のマイクロ波を入射することで、入射部からある程度離れた箇所においてはTEMモードを支配的に伝播させることが可能となることを明らかとした。加えて、管周方向4箇所以上から周方向等間隔に入射部を挿入することで、直管内にTE11モードを支配的に伝播させることも可能であることを見出した。TE11モードの伝播に関しては、円管内TE11モードの電磁場分布に基づく考察により、入射方法が妥当なものであるといえること、また同様の手法はTMも含めたより高次のモードを伝播させる際にも適用可能であろうことを明らかとした。 得られた数値解析結果の検証のため、マイクロ波搬送線を分岐させることが出来るよう既存測定システムの改修を行い、またTEMモード伝播評価のための二重管試験体及びTEモード伝播評価のための直管試験体を用いた試験環境を整備した。本年度はTEモード伝播評価試験を主として行い、数値解析結果に基づき、周方向4方向からマイクロ波を入射するマイクロ波入射プローブを製作し、約2mの直管に対する測定を行った。評価試験の結果、現状マイクロ波分岐部及び入射部におけるエネルギーロスの改善が必要であることが明らかとなった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画であったTEMモードを支配的に伝播させるためのマイクロ波入射方法は、数値解析により比較的容易に実現が可能であるということが明らかとなった。また、挑戦的な実施項目として設定していたTEMモード以外の特定のモードを支配的に伝播させるためのマイクロ波入射方法についても、数値解析によりその可能性を見出すことが出来た。ただし、後者については数値解析と整合する試験結果を得るには至っていないこと、しかしながら解決するべき課題及びその対処法はほぼ明瞭となっていることから、区分(2)と評価した。
|
今後の研究の推進方策 |
平成28年度は平成27年度得られた数値解析結果を再現する実験データを得ること、またそれを踏まえて、本研究により開発するマイクロ波を用いた防護材下腐食の一括探傷技術の適用性と能力を定量的に評価することを目的とする。 管内に伝播するマイクロ波のエネルギーを高めるため、マイクロ波発振器の出力レベルを10dB程度上昇させての再試験を行うとともに、現状の分岐が不必要に大である可能性を鑑みて、必要に応じて不要な分岐を行わないことができるよう測定系を改修する。試験は基本的に平成27年度製作した試験体を用いて行うが、学内では試験体長さに制限が大であることを鑑み、一部学外試験を利用しての試験も実施する。
|