マイクロ波の伝播挙動に基づいて断熱材付二重管の断熱材下腐食の広域一括探傷を行う非破壊検査技術について、数値解析及び実験両面からの可能性評価を実施した。平成27年度得られた知見に基づき、管壁側面からマイクロ波をTEMモードで断熱材部に伝播させるためのマイクロ波プローブを設計・製作した。腐食を管肉厚変化で模擬した二重管試験体を用いた試験の結果、模擬腐食からの明瞭な信号を確認することができ、またその信号のTime of FlightはTEMモードでの伝播を仮定した場合の模擬腐食位置と両行に一致するものであった。また、電磁気的特性が真空とは異なる断熱材内部でのマイクロ波の減衰から、探傷可能距離の評価を行った。 加えて、平成27年度研究にその可能性が見いだされた、TE11モードを管内に伝播させるプローブについても更なる評価と検証を行った。マイクロ波分岐時のロスの低減のため、管内入射時のマイクロ波の分岐数を8から4へと変更した試験体系を新たに構築し、直管を用いた検証試験を実施した。得られた試験結果は従来のTMモードを発振するプローブでは検出できなかったきずが新たなプローブでは検出可能である一方、従来のプローブでは検出できるきずに対しては新たなプローブの感度は低いという、電磁場分布に基づく理論的考察と一致するものであった。また、TE11モードの管内速度を仮定すると信号のTime of Flightはきず位置とほぼ一致することが確認され、よってTE11モードを管内に発振・伝播させることに成功したと結論付けることができた。
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