再生可能エネルギーの普及に伴い、その不安定な非定常電力の活用が今後重要である。固体酸化物電気分解セル(Solid Oxide Electrolysis Cell)による高温水電気分解は効率良く水素製造が可能である。本研究は再生可能エネルギーの余剰の非定常電力を活用したSOECによる水素製造が目的である。従来のSOECの課題は大面積化が困難な点である。そこで金属基板上にSOEC層を形成した金属基板SOECを開発した。 SOEC層はカソード(LSCF)|電解質(YSZ)|アノード(酸化ニッケル+YSZ)層とした。別途、SOEC単体での水電気分解を進め、水素生成を確認し、このセル構成で水電気分解が可能であることを確認した。次いで、金属基板SOEC単層セルを作成した。ガス拡散向けのμmオーダーの細孔を新規のレジスト溶解法で多数開けた。電解質YSZ層の作成には通常1500℃以上の高温過程を要する。そこで低温焼結材料とYSZ微粒子の複合材料を塗布した形状とした。金属基盤とカソード層間には金属拡散防止層を形成させた。金属基盤の細孔によりSOEC層が不均一になる傾向があったが、成膜条件の最適化によりSOEC層が均一なセルがこの手法で形成が可能であることを示した。このセルを用いて水分解、水素製造を実証した。 この手法により、SOECの大面積化が可能となる一定の見通しを得た。このセルにより再生可能エネルギーの非定常性で発生する大量の余剰電力を水電気分解により水素として貯蔵、利用できる可能性を見出し、再生可能エネルギーの一層の普及に向けた技術対応の可能性を示した。
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