我々は既に、Tec familyの非受容体型チロシンキナーゼ、Btk29Aの機能喪失が、雌の卵巣において生殖細胞を過剰に増殖させ、腫瘍を引き起こすことを明らかにしている。Btk29A機能喪失のこの作用は、卵巣のニッチにおいて、piwi遺伝子の転写レベルが低下することに起因する。PiwiはpiRNAを伴ってトランスポゾンからの転写物を切断したり、クロマチンの制御を通じ、トランスポゾンの活動を抑止することが知られている。従ってPiwiの減少を引き起こすBtk29A遺伝子機能喪失は、トランスポゾン抑制能の低下をもたらし、ひいてはゲノムの安定性を損なう推定される。そこで、Btk29A変異体について求愛条件付けパラダイムにより記憶を測定した。その結果、Btk29A変異体は記憶障害を示すことが明らかになった。
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