本課題では、細胞内でのタンパク質合成の活性をリアルタイムに検出するためのレポーター人工遺伝子の開発を目的として研究計画を遂行した。以前に報告されている細胞内タンパク質合成活性のレポーターは、低分子化合物の添加を必要とするものや、タンパク質分解系の活性に影響されてしまうものなどがあったが、脳などの生体組織内で細胞のタンパク質合成活性をリアルタイムに測定するために使用するには問題点が多くあり、今までのレポーターに変わるgenetically endocdedかつ正確なタンパク質合成活性レポーターを創り出すことを目指した。 昨年度には、合成されている最中にのみ蛍光を呈し、合成完了後に自己消化するような仕組みを取り入れた改変GFP人工タンパク質の設計を行い、基本的な骨組みを備えた人工タンパク質を細胞ないと試験管内の両方で作成した。さらに、この人工タンパク質の生化学的な評価をおこない、自己消光メカニズムが働くことをこれまでに確認した。 本年度には、昨年度に作成したタンパク質合成活性レポーター人工遺伝子の最適化を行った。GFPを安定化する変異の導入、GFP改変体のN末端およびC末端に融合させるリンカーの長さと配列の調節、発現量の調整などをおこない、シグナルのバックグラウンド低減とタンパク質の凝集体形成を抑制することができた。今後さらに調整を行うことで細胞内での実用化することができると考えている。
|