研究課題
H27年度に開発した細胞内計測用システムにより、麻酔下および覚醒下の動物個体(ソングバード)の大脳皮質より細胞内記録を実施した。目的とする大脳皮質投射型神経細胞を逆行性に刺激することで正確に同定し、音刺激提示に対する応答の記録に成功した。その結果、覚醒下で一部の大脳皮質投射型神経細胞サブタイプでは活動電位のみならず、閾値以下の後シナプス電位に関しても、ある種の音刺激に対して再現性の高い応答を示すという新知見が得られた。光遺伝学的操作による選択的な神経活動計測を実施するために、線条体に関しては直接経路、間接経路選択的な遺伝子発現系にくわえて、パッチおよびマトリックス選択的な遺伝子発現系の開発を行なった。さらに大脳皮質から線条体投射神経細胞に関しては、IT型細胞、PT型細胞選択的な遺伝子発現系の条件検討を行なった。また細胞内記録法には、閾値以下の膜電位変化を正確に計測できるメリットがある反面、長期間安定して計測することが困難であり、同一個体から計測できるのは単一細胞のみである等のデメリットも存在する。そこで長時間安定して計測可能であり、さらに同時に複数の神経細胞の膜電位を計測する手法として細胞イメージングによる膜電位計測の可能性についても探索した。細胞レベルの膜電位指示タンパク質として、従来より膜電位センサードメインと蛍光タンパク質の融合タンパク質が開発されてきた。生体での新たな選択的膜電位計測の可能性を探索する目的で、従来の膜電位指示タンパク質と動作原理の異なる膜電位センサードメインと蛍光タンパク質の融合タンパク質を作成し、電位依存的な蛍光変化について解析をおこなった。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
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