哺乳類中枢シナプスでは、30から50 nm程度の大きさしかないシナプス小胞1個の動態、たとえば開口放出、エンドサイトーシスを実測した試みが少ない。このため、神経伝達物質放出メカニズムに関しては多くの謎が残されている。シナプス前終末を単離し、全反射蛍光顕微鏡を適用することで、シナプス小胞1個の動態を観察することを試みた。本研究課題期間中に、脳幹聴覚伝導路calyx of Heldシナプス、海馬苔状線維シナプスのシナプス前終末において、シナプス小胞動態を観察することに成功した。シナプス小胞は形質膜付近に係留されただけでは伝達物質放出可能になるのではなく、分子的な準備段階を経ることがわかった。
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