大脳皮質において胎生期に同じ神経前駆細胞から発生したクローン神経細胞は、生後に選択的に神経結合する。そこで、iPS細胞技術を利用したキメラマウス標本により発生期に同じ神経幹細胞から生まれた細胞を標識し、興奮性神経結合の細胞系譜依存性を解析した。大脳皮質バレル野4層において、クローン細胞ペアは、非クローン細胞ペアに比べて、高い割合で双方向性結合を形成していることを見出した。また、生後発達期に末梢からの感覚入力を遮断すると、細胞系譜特異的な双方向性神経結合の形成が阻害されていた。以上の結果は、クローン細胞群が生後にシナプス結合を形成する過程に、経験依存的なメカニズムが関与することを示唆する。
|