研究課題
シナプス接着因子はシナプス前部と後部に対となって発現し、シナプス構造の形成、維持や機能調節に働いている。これまでニューロリギン/ニューレキシン、カドヘリン、LRR蛋白質といった多数の分子が同定されているが、一種類のシナプスでなぜ多数の分子が共存するのかは判っていない。本研究では、シナプス接着因子には時空間特異的な機能差異があるのではないかと考え、イメージング技術を駆使して研究を進めてきた。それぞれの分子がシナプスのごく一部に局在し、異なった複数のナノドメインを形成しているという仮説を検証することが目的である。このため、代表的な細胞接着因子である、ニューロリギンとEphBを対象に、まず超高解像度免疫染色の条件検討を行った。ニコン社製N-STORM顕微鏡を用い、市販のニューロリギンまたはEphBのポリクローナル抗体とHomerのモノクローナル抗体を用い、海馬分散培養に対して免疫染色を行った上で、超高解像度観察を行った。同時に、免疫染色がうまくいっているかを確認するために、共焦点顕微鏡による観察を行った。Homerに関しては、細胞質に存在するタンパク質であり比較的コピー数が多いのと、当研究室での蓄積があり、良い抗体がわかっていたため、比較的簡単に予想されるのと近い画像が得られた。一方、ニューロリギンおよびEphBに関しては、シグナル強度が非常に弱く、確信が持てるシグナルが得られていない。いずれも膜タンパクであり、コピー数が少ないことが原因と考えられる。このため、現在、FLAGタグをN末端に付けた構築を作成し、それをレンティウイルスベクターで導入し、同様に免疫染色することを試みている。また、そのほかカドヘリンなどの免疫グロブリンスーパーファミリー、グルタミン酸受容体などについても検討を行っていく予定である。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)
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