研究課題/領域番号 |
15K14333
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
日置 寛之 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00402850)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 神経科学 / 神経回路網 / アデノ随伴ウイルス / キャプシド / 特異的感染 |
研究実績の概要 |
神経回路構造研究をさらに促進するためには、可視化法・観察法・解析法といった各要素における革新的技術の開発が必要である。本研究課題は、独自の視点から新規ウイルスベクターの開発を行い、新たな可視化法を確立するものである。ウイルスベクターを用いることで、任意のタイミング(anytime)で任意の部位(anywhere)に遺伝子導入が可能となる。さらにCre等を発現する遺伝子改変動物と組み合わせるとで、細胞種特異的な遺伝子導入も可能になった。しかしこれは同時に、遺伝子改変動物が存在しなければ、細胞種特異的な遺伝子導入が困難であることを意味する。そこで本研究課題では、『AAVのキャプシドタンパクを人為的に改変』し、『感染(侵入)のステップから特異性を獲得』する革新的技術の創出を目指す。 Cap遺伝子は、ウイルス粒子を構成するVPタンパク質をコードしている。alternative splicingによりVP1-3という3種のキャプシドタンパクが作られ、20面体粒子構造を形成する。そのウイルス粒子表面から外に突き出しているspikeが、細胞へと感染(侵入)する際に重要であることが分かっている。上記結合ドメインのアミノ酸を置換し、感染能の除去を行い、in vitroで検証したところ、確かに感染能は劇的に低下した。引き続きin vitroにおいて詳細な検討を進める。また、未知の結合ドメインが存在する可能性も想定し(感染能の除去が不完全だった場合)、random mutagenesisによる感染能スクリーニングの準備も同時に進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
特に大きな問題も生じず、順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
新しい配列をキャプシドタンパクに導入することで、ウイルス粒子の立体構造に障害を来たし、新規感染性の獲得どころかウイルス粒子の産生自体に問題が生じる可能性が考えられる。よって、標的毎に応じて異なる配列をその都度導入し、最適化を図ることは汎用性という観点からも不利な戦略となる。本研究課題では、独自の視点から技術開発を行い、こういった問題に予め対処するだけでなく、end userにとっても確実かつ簡便な方法論を確立する。まずはin vitroでの検証を進め、感染効率を定量的に評価していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
in vitro assay用にペプチド合成を行う予定であったが、in vivo assay系と統合することにより、費用と労力の軽減を考慮した。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度にペプチド合成を行う予定である。
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