研究課題
神経回路構造研究をさらに促進するためには、可視化法・観察法・解析法といった各要素における革新的技術の開発が必要である。本研究課題は、独自の視点から新規ウイルスベクターの開発を行い、新たな可視化法を確立するものである。ウイルスベクターを用いることで、任意のタイミング(anytime)で任意の部位(anywhere)に遺伝子導入が可能となる。さらにCre等を発現する遺伝子改変動物と組み合わせるとで、細胞種特異的な遺伝子導入も可能になった。しかしこれは同時に、遺伝子改変動物が存在しなければ、細胞種特異的な遺伝子導入が困難であることを意味する。そこで本研究課題では、『AAVのキャプシドタンパクを人為的に改変』し、『感染(侵入)のステップから特異性を獲得』する革新的技術の創出を目指す。平成28年度は以下の課題に取り組んだ。(1) 感染能の除去:Cap遺伝子は、ウイルス粒子を構成するVPタンパク質をコードしている。alternative splicingによりVP1-3という3種のキャプシドタンパクが作られ、20面体粒子構造を形成する。そのウイルス粒子表面から外に突き出しているspikeが、細胞へと感染(侵入)する際に重要であることが分かっている。感染に関わる結合ドメインのアミノ酸を置換することで、感染能が劇的に低下することを培養細胞で確認した。その後、初代培養神経細胞、成体マウスでの検証を進めている。(2) 新規感染性の付与:キャプシドタンパクに特異的配列を付加・挿入することで、新規感染能の獲得を目指す。GST-fusionで候補となる特異的配列を3種作製し、精製を行った。成体マウスにて、これら合成タンパク質が特定の神経細胞種に取り込まれるかについて検証を進めている。特異性が確認された後、キャプシドタンパクに付加・挿入していく。
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すべて 国際共同研究 (6件) 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 5件、 招待講演 4件) 備考 (1件)
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