研究課題
パーキンソン病(PD)患者群16例,非PD患者群8例に対して,当初計画した基本条件での測定を行ったが、明らかな有意差は得られなかった.これを受け、PD患者群と非PD患者群のLagtimeの差により明確な有意差が見い出せる測定条件を検討すべく,αシヌクレイン濃度,バッファー,超音波照射時間などのパラメータを変化させて測定を行った.現時点では,まだ十分な改善は得られていないが,バッファーの塩濃度を上げる(150mM→1MNaCl)ことでPD患者群と非PD患者群のLagtimeの差が明瞭化する傾向を見い出しており、PD診断(PD例10例,非PD例7例)において,Lag time 1000分をカットオフとした場合で感度80%,特異度71%,Lag time 1100分をカットオフとした場合で感度100%,特異度57%の診断結果が得られた.このことから,今後症例数をさらに増やした検討を行うことや測定条件を最適化させることで本研究手法を実用化しうる可能性が見い出せたものと考える.現在は主に超音波照射時間とインキュベーション時間の組み合わせの検討を行っている.当初はアミロイド線維形成反応の促進による測定時間短縮のために比較的長時間の超音波照射を行っていたが,脳脊髄液内の微量シードの増幅を評価するには逆に超音波照射時間をなるべく短くする方がよい可能性を見い出しつつある.今後は暫定的な最適化条件を決定し,症例数を増やした検討を行っていく予定である.一方、SPring-8の放射光による顕微赤外分光法を用いて,PD患者脳内の存在する実際のレビー小体がβシート構造を多く有していることを確認した.この結果は患者髄液中に存在するとされるシードの存在を支持する結果であると考える.
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Scientific Reports
巻: 5 ページ: 17625
doi:10.1038/srep17625