研究課題/領域番号 |
15K14341
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
川原 玄理 東京医科大学, 医学部, 講師 (40743331)
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研究分担者 |
林 由起子 東京医科大学, 医学部, 教授 (50238135)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 筋萎縮 / MuRF1 / ゼブラフィッシュ / ドラッグスクリーニング |
研究実績の概要 |
今年度は、ゼブラフィッシュMuRF1の発現をコントロールする薬剤のスクリーニングに用いるトランスジェニックフィッシュを作製するため、(1)ゼブラフィッシュを用いたMuRF1プロモーター領域の特定、(2)マイクロインジェクションによるMuRF1トランスジェニックフィッシュの作成、を目的にプロジェクトを進めた。MuRF1 翻訳開始コドンの上流領域の塩基配列をEGFPのベクターの配列に組み込みその発現を解析することで、MuRF1 翻訳開始コドンの上流領域の塩基配列、約600塩基対がMuRF1プロモーター領域として、その発現制御に重要であることが明らかになった。このMuRF1プロモーター領域の配列をEGFPをコードする塩基配列の上流領域に組み込んだベクターを受精卵に注射することにより、ゼブラフィッシュのゲノムDNAにこれらが組み込まれたトランスジェニックゼブラフィッシュを作成することに成功した(F0)。 受精卵に注射した個体のうち、約50%の個体でGFPシグナルが筋組織で観察され、これらの個体を第一世代(F0)として、成魚まで成長させ、野生型と交配し次世代(F1)を作成した。F1個体群からGFPシグナルを指標にGFP陽性な個体をスクリーニングした結果、骨格筋、心筋においてEGFPシグナルが観察される個体、つまりGFPシグナルにより間接的にMuRF1の発現が観察される個体が得られている(F1)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ゼブラフィッシュMuRF1 翻訳開始コドンの上流領域、約600塩基対がMuRF1プロモーター領域として、その発現制御に重要であることが明らかになり、このMuRF1プロモーター領域をEGFPをコードする遺伝子配列の上流に組み込んだベクターを導入した個体を得ることができた。 これらの変異体を第一世代(F0)として、 次世代を作成し、骨格筋、心筋でEGFPのシグナルが観察されるトランスジェニックフィッシュが得られており(F1)、現在のところ計画通り達成されているが、そのトランスジェニックフィッシュの解析、そして薬剤スクリーニングを行うためには、さらに個体群を増やすことが必要なことから、やや計画からは遅れていると自己評価している。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、昨年度作製したMuRF1トランスジェニックフィッシュを用いて、MuRF1の発現制御物質のスクリーニングについて行う。現在すでに1250個の薬剤を含む薬剤ライブラリーを入手しており、このライブラリーに含まれる薬剤に関してスクリーニングを行う。トランスジェニックフィッシュの成魚への成長後、個体数を増やし系統を確立する。系統確立後、トランスジェニックフィッシュの解析と薬剤ライブラリーのスクリーニングを行なう予定である。そのスクリーニングにより、MuRF1の発現制御する候補薬剤とその分子機序を明らかにし治療法開発に役立つ分子の新規発見をめざす。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度は、国外で行われる国際学会への参加が無かったことと、いくつかの抗体購入を次年度行なうことにしたことが、次年度使用額を生じた理由である。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度、国外で行われる国際学会への参加と研究成果の発表のための参加登録費、旅費等へ使用することと、本研究課題を実施するために必要な抗体購入、抗体作製に使用することを予定している。
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