研究課題
細胞から分泌され体液中に存在する膜小胞、エクソソームの表面には細胞膜タンパクが発現し、中には細胞質タンパク・miRNAが含まれることから、エクソソームは新たなタイプのバイオマーカーおよび細胞間情報伝達手段として注目されているが、ヒトの脳におけるエクソソームの役割は不明である。本研究では、認知症症例の剖検凍結脳からエクソソームを単離した後に、ニューロン・グリア由来のエクソソームを単離し、その中に含まれるタンパク・miRNAのプロファイリングを行い、さらに機能解析を行うことにより、認知症における脳内エクソソームのバイオマーカー・治療標的としての可能性を明らかにすることを目的としている。昨年度は、従来法によりマウス凍結脳から単離したエクソソームの形態観察、粒径測定、エクソソームマーカーの発現解析を行ったところ、純度・収量が不十分であることが判明した。そこで、単離法の改良を試み、最終的にエクソソームの特徴を備えた膜小胞を凍結脳から単離することに成功した。本年度は、まず高齢者ブレインバンクから提供されたヒト凍結脳からもエクソソームを単離できることを確認した。続いて、ニューロン・ミクログリア・アストロサイト・オリゴデンドロサイトマーカーの発現解析を行い、脳エクソソームにはそれぞれの細胞由来のエクソソームが含まれていることを確認した。さらに、神経病理所見のない症例とアルツハイマー病症例の脳から単離したエクソソームのウエスタンブロット解析を行い、アルツハイマー病の脳由来のエクソソームでのみアミロイドβ検出されることを確認した。
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BMC Cancer
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