研究課題/領域番号 |
15K14350
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
菅生 紀之 大阪大学, 生命機能研究科, 助教 (20372625)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 分子・細胞・神経生物学 |
研究実績の概要 |
これまでのマウス変異体の解析から、DNA修復酵素は神経細胞分化における重要な因子であると考えられるが、生理的意義は不明な点が多い。本研究では遺伝学的手法に加えて、マウス及びヒト神経細胞分化において遺伝子座とDNA修復酵素の相互作用を1分子蛍光イメージングで可視化し、核内空間配置と動態をとらえることで新たな観点から神経細胞分化の原理・法則性を明らかにすることを目指している。さらに、分化過程におけるDNA鎖切断損傷部位と遺伝子座の相関を1細胞レベルで解析し、神経発達障害の原因になりうる体細胞突然変異の発生メカニズムを明らかにする。 本年度は、(1)遺伝子ターゲティングとCRISPR/Cas9法を組み合わせてDNA修復酵素DNAポリメラーゼβ欠損ヒトiPS細胞株の作製に成功し、神経細胞への分化誘導の実験を開始した。(2)DNAポリメラーゼβ欠損マウス神経細胞およびヒトiPS細胞由来神経前駆細胞の塩基損傷およびDNA2本鎖切断損傷に対する感受性の解析を行った。(3)DNAポリメラーゼβ欠損マウス神経細胞のトランスクリプトーム解析を進め、野生型とは異なる発現を示す遺伝子群を同定した。(4)マウス神経前駆細胞においてエピジェネティックな制御として知られるDNA脱メチル化機構にDNAポリメラーゼβが必要であることを明らかにした。(5)本研究の基盤となる神経細胞の核内での1分子蛍光イメージング計測に関する成果を研究論文として発表した。また、上記にあるマウス神経前駆細胞と神経細胞におけるDNAポリメラーゼβの役割に関する研究成果を国内外の学会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、マウス細胞での実験は順調に進んでいる。その一方で、ヒト神経細胞でDNA修復酵素の役割を明らかにするためのDNAポリメラーゼβ欠損iPS細胞の作製を進めた。欠損iPS細胞株の取得と神経細胞への分化誘導には成功し概ね順調に進んでいるが、DNA損傷の可視化やその1分子イメージング解析には至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策として、DNAポリメラーゼβ欠損ヒトiPS細胞由来の神経前駆細胞および神経細胞を用いて、神経細胞分化におけるヒトDNA修復機構の役割を明らかにする研究を推進する。また、マウス細胞でのトランスクリプトーム解析のデータを参考にして、ヒトの神経細胞分化過程において転写制御に影響する染色体不安定部位の特定を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
iPS細胞由来ヒト神経前駆細胞および神経細胞の実験を進める予定であったが、その実験が当初の予定よりも遅れていることから、それに予定していた費用を次年度で使用することとなった。
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次年度使用額の使用計画 |
実験を継続して行い、その経費や研究発表の旅費、研究成果の発表に充てる予定である。
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