研究課題
これまでの研究でOlig2アストロサイト(Olig2-AS)とGFAPアストロサイト(GFAP-AS)の分布局在が異なることが分かってきたので、本年度は脳内各部位における両者の分布を詳細に比較検討した。Olig2-ASは主に基底核回路、視床、橋、延髄に分布し、GFAPのそれとは明らかに分布パターンが異なっていた。またOlig2-ASはグリア型GABAトランスポーターであるGAT-3や小胞型GABAトランスポーターであるVGATの分布と酷似していた。Olig2-ASの全般的な機能抑制を行うために、Olig2-AS特異的にM3Dq遺伝子を発現させた。この蛋白は人工的なリガンドであるCNOを投与するとGq蛋白を介して細胞機能抑制がかかるものである。CNO投与時と非投与時での主にマウスの四肢の動きをモニターする目的で透明なシリンダーに一定時間入れて前肢の動きをビデオ解析した。また運動評価としてグリッド上を歩行させてどれくらい足を踏み外すかの評価も行った。結果としてはCNO投与時に明らかに片側前肢の動きが正常よりも抑制されていることが明らかとなった。本研究の開始時にはOlig2-ASの人為的機能操作を光感受性チャネルであるチャネロドプシンやハロロドプシンで行うことを計画していたが、実際に計画を遂行する過程で光遺伝子操作よりもより長期に細胞機能の人為操作を行うことができるDREADD法がより目的に合致していることが分かって、特に本年度はその方法を採用して一定の成果が得られている。さらに本年度の分布解析から、Olig2-ASはGABA作動性の伝達を特異的に調節している可能性があるので、今後の計画としてOlig2-AS特異的にGAT-3のノックダウンを行う系を確立し、機能解析を行う予定である。
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すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 9件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (7件)
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