研究課題
トリ始原生殖細胞は胚内血管内を循環移動を行い、特定の毛細血管において移動停止したのち、血管内から外へと遊出する。代表者は、トリ始原生殖細胞が高弾性であり、毛細血管で移動を停止する際にその固有の弾性が重要であることを見出してきた。さらに固有の弾性はActinによって担われる可能性を見出してきている。当該年度においては、in vivoにおいてトリ始原生殖細胞の循環移動停止にActinが関わるのかについて、検証を行ってきた。当初、内在のトリ始原生殖細胞へ機能欠損型のActinをトランスフェクションする方法を試みてきたが、導入効率が上がらなかったことから、トリ始原生殖細胞の培養を行い、その細胞を材料としてin vivo解析系に用いることとした。培養条件検討の結果、トリ始原生殖細胞の大量培養に成功し、かつ遺伝子導入効率の改善も達成できた。
3: やや遅れている
概要で述べた通り、トリ始原生殖細胞のin vivo解析を行うことに対し、内在生殖細胞へのトランスフェクション法では不十分であることが判明したため、新たなストラテジーによるin vivo解析法を模索する必要があったためである。
今後は、当該年度に確立したトリ始原生殖細胞の培養系を用いることで、培養下で増やし、遺伝子操作したトリ始原生殖細胞を別胚の血管内に移植し、循環移動停止に影響がでるかについて解析を行う。培養の成功と移植操作の実績から解析系の推進には問題がないものと考えている。一方で、ガン細胞においても血行性転移と細胞弾性の関連について解析を進める。まず血行性転移を行うガン細胞株を選定し、原子間力顕微鏡にて細胞弾性を計測する。高弾性であった細胞株についてはin vivo解析系に移行して循環移動における表現系を確認したのち、Actinの機能欠損実験等を介して分子機構の解明を目指す。
すべて 2015 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
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