研究課題/領域番号 |
15K14358
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
齋藤 大介 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (90403360)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 細胞弾性 / 生殖細胞 / がん細胞 / 鳥類 / 胚 |
研究実績の概要 |
本年度は鳥類生殖細胞の培養に挑戦してきた。なぜなら、生殖細胞の培養が成功すれば、生殖細胞への遺伝子導入が格段に容易となり、生殖細胞のイメージングおよび細胞挙動と関連した遺伝子機能解析が可能となるためである。結果、ニワトリとウズラの生殖細胞の培養法の確立に成功した。これで大量の材料を得ることができる環境が整い、よって生殖細胞の遺伝子機能解析が可能な状況となった。この培養生殖細胞の実験系を用い、鳥類胚における生殖細胞の血行性転移の機構として、生殖細胞が特定毛細血管において循環移動停止を行うために自身が高弾性である必要性についてはじめて検証できる状況が整った。 前年度までに、培養皿に取り出した生殖細胞に対し、ラトランキュリンAおよびブレビスタチン(アクトミオシンの機能阻害のため)を添加した際の結果から、生殖細胞の高弾性の実体がActinであることを明らかにしていた。そこで今年度は、生体内の生殖細胞におけるActin機能解析を行うべく、生殖細胞特異的なActin重合阻害法の確立を試みた。具体的には、ドミナントネガティブRhoA、C3、ドミナントネガティブActinを、tet-onシステムにより強制発現させることを行い、これら変異株において生殖細胞の高弾性がキャンセルされることを確かめた。次に、これらtet-onシステムによりActinが機能阻害される生殖細胞株を使った血管内挙動解析から、生殖細胞の弾性を低下させた場合には、生殖細胞は特定毛細血管において循環移動を停止できなくなることが、移植実験により明らかになってきた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
生殖細胞の培養維持法の確立により、生殖細胞の遺伝子改変とそれに伴った挙動解析が可能となったため、現在ブレイクスルーが到来している。
|
今後の研究の推進方策 |
生殖細胞が硬いことによって、特定毛細血管において循環移動を停止するとの仮説を検証することが次に行うことである。HH14のニワトリ胚の血液中に、ドミナントアクティブRhoA、C3、あるいはドミナントネガティブActinを発現させた生殖細胞を移植し、その挙動を解析する。Life-Act等でActinを可視化させた生殖細胞の血管内挙動も解析し、どのような振る舞いによって循環移動停止とその後の浸潤転移が行われるのかを明らかにしたい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、血行性転移における生殖細胞の高弾性の意義についての解析を優先的に行ってきた。当初行う予定であった、がん細胞株における高弾性と血行性転移の意義については、がん細胞株の再選定が必要となり、その後に計画して実験を次年度に移すことになったため。
|
次年度使用額の使用計画 |
謝金としてアルバイト1名を雇用する(1名x50千円/12ヶ月)。物品費として、細胞培養試薬(10千円x4セット)を購入する。
|