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2016 年度 実施状況報告書

マウスモデルを用いたIgA腎症発症における腸内細菌叢と腸管免疫の役割の解析

研究課題

研究課題/領域番号 15K14360
研究機関京都大学

研究代表者

浅野 雅秀  京都大学, 医学研究科, 教授 (50251450)

研究分担者 成瀬 智恵  京都大学, 医学研究科, 助教 (30372486)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード糖鎖 / IgA腎症 / 腸内細菌
研究実績の概要

ガラクトース転移酵素であるβ4GalT-1の欠損マウスはIgA腎症を自然発症する。このマウスはIgA腎症患者と同様に,IgA分子の糖鎖不全と高IgA血症が見られ,これらが発症に関与すると考えられる。腸管でのIgA産生は腸内細菌の影響を受けることが知られているので,β4GalT-1欠損マウスの腸内細菌叢の解析を行った。IgA腎症を発症する前の2ヶ月齢と発症後の6ヶ月齢のマウスの新鮮糞便を回収して,16SrRNAに対するT-RFLP解析を行った(解析は実中研に委託)。しかしながら各腸内細菌の比率は2ヶ月齢でも6ヶ月齢でもβ4GalT-1欠損マウスとコントロールマウスの間で有意な違いは見られなかった。以前に金沢大にいた時にはβ4GalT-1欠損マウスではProteobacteriaが減少して,Bacteroidesが増加するという予備的な結果を得ていたが,京大に移って飼育環境が変わったためなのか,以前の結果は再現できなかった。
IgA腎症の原因がIgA産生細胞における糖鎖不全にあるのか,腸管上皮細胞における糖鎖不全にあるのかを明らかにするために,β4GalT-1のコンディショナルKOマウスの作製を進めた。27年度はEUCOMMからのベクターの入手ができなかったので,28年度はβ4GalT-1遺伝子のエキソン2の両側にloxPを挿入したノックインベクターを作製した。CRISPR/Cas9法によりES細胞ではベクターのノックインに成功したので,受精卵への導入を試みている。β4GalT-1のfloxマウスができたらCreマウスと交配して,IgA産生細胞特異的あるいは腸管上皮細胞特異的なβ4GalT-1のコンディショナルKOマウスを作製して解析を進める。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

腸内細菌叢に違いが見出せなかったのは残念であるが,β4GalT-1のノックインベクターがES細胞で機能することが分かったので,この点については昨年度の遅れを挽回できたと考えている。早速に受精卵に導入して,目的とするβ4GalT-1のコンディショナルKOマウスを作製する。免疫染色やFACSによる腸管免疫の解析が遅れているので,来年度はこの点もデータを出していきたい。

今後の研究の推進方策

β4GalT-1のノックインベクターがES細胞では機能することが分かったので,早速に受精卵に導入して,目的とするβ4GalT-1のコンディショナルKOマウスを作製する。腸管上皮細胞や腸管免疫担当細胞に対して,IgAやリンパ球マーカー,ムチンに対する免疫染色やFACS解析を行い,高IgA血症の原因を明らかにしていく。

次年度使用額が生じた理由

28年度は予定通りの使用額であったが,27年度の使用額が少なかったので,29年度への繰越額が生じた。

次年度使用額の使用計画

29年度は最終年度になるので,コンディショナルKOマウスの作製や腸管免疫の解析を加速して執行する予定である。

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公開日: 2018-01-16  

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