がん組織における糖代謝はミトコンドリアによる酸化的リン酸化よりも解糖系が優位になっている。この糖代謝の状態はがん細胞の増殖・進展に有利に働くと考えられている。この代謝シフトやミトコンドリア活性が発がん過程に果たす役割は未知の部分が多い。本研究は、ある種の遺伝性腎癌では転写因子TFE3の活性化を伴いミトコンドリア機能が亢進しているという研究成果に基づき、TFE3が活性化している腎癌における糖代謝機構の変化とミトコンドリアの役割解明を目的とする。各種発現誘導細胞株や腎癌発がんマウスモデルの作製・解析により、ミトコンドリアにより産生されるATPがシグナル分子として発癌に寄与する可能性が示された。
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