研究課題
抗ヒトDNAトポイソメラーゼII抗体(4E12b抗体)の真の抗原性について詳細な解析を行い、本抗体のエピトープがヒトDNAトポイソメラーゼII配列中の特定の6アミノ酸残基のペプチドに存在することを明らかにした。網羅的なBLAST検索から、多くの生物種で、この配列含むタンパク質が同定された。これらの生物種由来の細胞抽出物の4E12b抗体を用いたイムノブロッティングの結果、これらのタンパク質の推定分子量に相当する複数のタンパク質が抗原性を示した。さらにこのペプチドに隣接するアミノ酸残基の影響を調べるためにN端側、C端側のアミノ酸残基を変更し、抗原性に与える影響を調べた。また、4E12b抗体L鎖、H鎖cDNAクローニングを行い、動物細胞での発現を実施した。得られた組換え抗体は、4E12b抗体と同じ特異性を示し。トリプシン分解ペプチドマッピング解析の結果はこのcDNAから予想されるL鎖、H鎖のアミノ酸配列と一致した。4E12b抗体L鎖、H鎖cDNAから推定されたアミノ酸配列と既知のデータベース上の相同配列検索を行ったところ、L鎖、H鎖のそれぞれが極めて類似したIgG分子が同定された。4E12b抗体L鎖と最も高い相同性が見出された抗体は4WEBで本来はC型肝ウイルスの外被糖タンパクを認識する抗体である。4E12b抗体L鎖と4WEB抗体L鎖のアミノ酸配列の置換は6か所存在するがほとんどが類似アミノ酸への置換であり、これらの部位のアミノ酸置換抗体を作製し、エピトープ配列への結合特性を調べることで、人工抗体のデザインが可能か否かを検討した。ほとんどの置換は特異性に大きな変化を与えなかったが、F122Yは抗原性を変更させる結果を得た。その他、本抗体のH鎖、L鎖の超可変領域のアミノ酸を変更した多くの変異体を作製し、4E12b抗体の特異性に影響を与える部位の検索を実施した。
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Biomicrofluidics
巻: 11 ページ: 034103
doi: http://dx.doi.org/10.1063/1.4983148