研究課題
昨年度は標的遺伝子に対するshort hairpin (sh) RNAベクターを導入したES細胞の樹立を目指したが、近年のゲノム編集技術の台頭により、年度の途中からCRISPR/Cas9によるノックアウトES細胞の作成に切り替えた。さらに、ドナーであるマウスES細胞は129系統由来のES細胞にGFP発現ユニットを導入したMM8を用い、キメラを作成してみた。しかし、蛍光顕微鏡下でのGFPは微弱であったため、他の候補を模索することとした。本年度は、CRISPR/Cas9により生殖細胞への分化に関わる遺伝子Prdm14をノックアウト(KO)したES細胞を樹立し、正常マウスへの胚盤胞へのインジェクションを実施した。Prdm14KO-ES細胞は、大阪大学から導入したGFPを発現するES細胞(EGR-G101)で相同組み換えを実施して作成した。すなわち、ターゲッティングベクターに組み込んだピューロマイシンによる薬剤耐性およびDS-Redにより組み換え体を選別した。その結果、4つのクローンを採取し、サザンブロットを行った結果、4つのクローン全ては相同組み換え体であることが明らかになった。樹立したPrdm14KO-ES細胞をドナー、正常なIQI/Jicマウスの胚盤胞をレシピエントとし、キメラの作成を試みた。その結果、作成されたキメラの精巣および卵巣からGFPは検出されなかった。さらに、キメラの雌雄それぞれを正常なマウスの雄雌で交配させたが、雌雄ともに次世代の獲得はできなかった。これらの結果からPrdm14遺伝子をノックアウトしたES細胞はキメラの生殖細胞へ寄与せず、不妊になることが明らかになった。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件)
Biochemical and Biophysical Research Communications
巻: 478 ページ: 1254-1260
doi: 10.1016/j.bbrc.2016.08.104.
実験動物技術
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