日本人女性の乳がんの罹患率は極めて高く,死亡率も上昇傾向にある。遺伝性乳がん卵巣がん研究は単一遺伝子の変異が発がん要因になることを明示し,遺伝子診断や分子標的治療を飛躍的に進歩させた。我々は新規なプロテインキナーゼNRK(Nik-related protein kinase)の変異マウスを作製し,Nrk(NRK遺伝子)欠損経産マウスが高頻度に乳がんを発症する現象を解析した(Am. J. Pathol.;朝日新聞掲載)。Nrkを乳腺の正常な細胞増殖制御を支えるがん抑制遺伝子と捉え解析した本研究は,未知の細胞がん化メカニズムを理解する上で端緒となり乳がん治療薬開発に資する知見を齎しうるものである。
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