研究課題/領域番号 |
15K14380
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
木戸屋 浩康 大阪大学, 微生物病研究所, 助教 (00543886)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 腫瘍血管 / トランスジェニックマウス / 蛍光タンパク質 |
研究実績の概要 |
本研究では、イメージング的手法とシステムバイオロジー的手法を組み合わせることにより腫瘍血管の発芽の制御機構を解明することを目的として進めている。平成27年度は、新生血管に特異的なapelin およびAPJ 遺伝子のプロモーター下で蛍光タンパクを発現するイメージングマウス(apelin- tdTomato BAC Tg、APJ-EGFP BAC Tg)の作成に取り組み、その検証を行った。 Apelin 遺伝子または、APJ 遺伝子を含めたBAC クローンをもとに、Red / ET Recombination System によってapelin- tdTomato BAC、APJ-EGFP BAC ベクターを作成した。このベクターを用いてトランスジェニックマウスを作成し、産まれてきたF0 マウスの中からPCR 法によりトランスジーン陽性マウスを選別した。作成した各種BAC Tg マウスの新生児の網膜を回収して血管をCD31 抗体にてwhole mount 免疫染色し、蛍光タンパクの発現が新生血管に特異的に認められることを確認した。また、LLC(Lewis lung carcinoma)細胞を100万個、背部皮下に移植して担癌モデルマウスを作成した。移植から14 日後に形成された腫瘍の切片にて血管を免疫染色すると、腫瘍血管において特異的に蛍光タンパクが発現していることを確認できた。さらに、多光子共焦点レーザー顕微鏡を用いた生体内イメージング経の構築も進んでいる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初、予定していたイメージングマウスの作成が予定よりも早く終了し、実際に新生血管に特異的に蛍光タンパクが局在することを確認できている。これらのマウスはこれまでに存在している血管イメージングマウスと比較しても蛍光強度に遜色なく、さらに腫瘍血管を含む新生血管に特異的であることから、イメージング解析系にとっては非常に有用なツールを作成できたと言える。加えて、平成28年度に予定していた腫瘍血管形成の生体イメージングによる観察系の構築も着実に進んでおり、期待していた以上の成果が得られている。以上の結果から、当初の計画以上に進展していると自己評価した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は予定通り、生体イメージングの観察系の構築を進めていき、腫瘍微小環境のストローマ細胞群との相互作用についても観察を行う予定である。また、抗がん剤などを投与した際の腫瘍血管環境への影響に関しても、検証を進めていく。さらに、apelin- tdTomato BAC Tgマウスから発芽血管内皮と平常血管内皮を単離して、遺伝子発現解析を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
繰越となる残額が少額のため、購入できる物品が無かったため。
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次年度使用額の使用計画 |
来年度予算と合算して物品の購入に充てる。
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備考 |
2015年10月24日に、高校生を対象とした「やさしい科学技術セミナー」を開催しました。
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