研究課題
(1)細胞外S100A8/A9タンパク質の機能を阻害する組み換えタンパク質の安定発現CHO細胞の取得: S100A8/A9を吸着し、がん細胞に作用させないデコイタンパク質製剤{EMMPRIN細胞外領域(exEMMPRIN)とIgGのFc領域との融合キメラタンパク質}のCHO細胞による大量調製系を確立した。exEMMPRIN-FcのCHO安定発現クローンより高純度大量精製することができた。(2)細胞外S100A8/A9タンパク質の機能を阻害する組み換えタンパク質の生物活性の検討(in vitro): exEMMPRIN-Fc について、ELISA systemから、S100A9, S100A8/A9結合能を保持できていることを明らかにした。また、ボイデンチャンバー法から、メラノーマの走化、浸潤能の抑制に非常に優れていることを確認した。(3)細胞外S100A8/A9タンパク質の機能を阻害する組み換えタンパク質の生物活性の検討(in vivo): 確立しているメラノーマの尾静脈投与によるマウス肺転移実験において、exEMMPRIN-Fcの肺転移阻害効果を評価した。肺転移性の顕著な抑制が認められたが、一回検討のみであるため、現在例数を更に増やして繰り返しの検討を行っている。
2: おおむね順調に進展している
本年度での達成目標は、(1)組み換えタンパク質(exEMMPRIN-Fc)調製、(2)組み換えタンパク質(exEMMPRIN-Fc)の生物活性の評価(in vitro)、(3)組み換えタンパク質(exEMMPRIN-Fc)の生物活性の評価(in vivo)、である。研究実績の概要で述べている通り、(1)~(3)の目標は概ね達成することができた。(3)の動物実験がまだ不完全であることより、本年度でも継続して検討を行うものとする。
今後の研究推進方策は以下の通りである。(1)メラノーマの肺転移へのexEMMPRIN-Fcの効果の評価実験に付いて例数及び回数を増やし、効能の信頼性を得るための検討を行う。(2)メラノーマ以外の固形がんについて、exEMMPRIN-Fcの効果を検討する。
計画通り使用したが、端数が発生した。
消耗品に使用する。
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