がんの転移は治療を困難にする最も大きな要因の一つであることから、転移に関する分子機構の解明は革新的な治療法の開発に貢献できると考えられる。本研究では、未分化型胃がんおよび食道扁平上皮がん患者の転移巣(腹腔・リンパ節)において、エプスタイン・バーウィルス感染Bリンパ腫細胞が高頻度で存在していることを発見した。さらに、未分化型胃がんにおいては当該リンパ腫が腹膜上の中皮細胞を活性化させることで、腹膜における腫瘍の生存及び進展に寄与していることを明らかにした。これらの知見は、当該リンパ腫細胞が間質成分への作用を介してがんの転移を促進する微小環境を形成しており、新たな治療標的となる可能性を示唆している。
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