研究課題
活性酸素(ROS)の細胞内レベルは発がん過程で上昇する事が知られているが、最近我々は、大腸がん等の上皮由来がん幹細胞において、ROSレベルが上昇する事、高レベルのROSが細胞増殖にむしろ促進的に働く事を見出した。そこで、この現象をがん化に伴うROSチェックポイントの破綻と捉え、正常幹細胞におけるROS依存的な細胞増殖の抑制、及び幹細胞のがん化に伴う抑制能の消失を解析する事により、ROSチェックポイントの分子的基盤を解明するとともに、がん化に伴うその破綻を明らかにし、幹細胞のがん化過程の解明を目指した。まず、マウス大腸由来のがん部、及び非がん部由来の上皮組織より、オーガノイドin vitro培養系を樹立した。樹立したオーガノイドにおいてROSレベルの検証を行い、がん化に伴うROSの上昇を検証した。樹立したがん由来のオーガノイドおいて、各構成細胞を、フローサイトメトリーにより、96 well plateに単離し、幹細胞特異的遺伝子、アポトーシス関連因子、増殖関連因子等の単一細胞定量的PCRを行なった。実験結果のクラスタリング解析により、がんオーガノイド構成細胞は3群に分かれたが、発現プロファイルより、1群は幹細胞に相当すると考えられた。同定した幹細胞における発現プロファイルの解析を行い、幹細胞におけるROSチェックポイント(及びその結果としての細胞増殖の停止、アポトーシスの誘導)、及びがん化に伴うその破綻の分子的基盤を明らかにする事を試みた。これらの実験は、現在まで継続して行われているが、発がん及びROSレベルの上昇と関連する構成細胞ほ変化が明らかになりつつある。
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月刊「細胞」
巻: 49 ページ: 108-111
Cancer Sci.
巻: 1 ページ: -
doi: 10.1111/cas.13196
巻: - ページ: -
doi: 10.1111/cas.13155.
Nature Comm.
DOI: 10.1038/ncomms12586