日本人に多い胃がんの約1割にEBウイルスの感染が認められ、発がんへの関与が疑われている。本研究では、ゲノム編集技術を応用して、EBウイルス陽性胃がん細胞から二種の全長EBウイルスゲノムDNAを単離して全ウイルスゲノム塩基配列を決定した。系統樹解析から、両者はいずれも東アジア地域に分布するウイルス株のグループに分類された。得られた胃がん細胞由来EBウイルスを不死化上皮細胞に感染させたところ、がん遺伝子産物高発現で誘導されるはずの細胞死が阻止されたことから、上皮がん発生の初期段階においてEBウイルス感染が関与する可能性が示唆された。
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