研究課題/領域番号 |
15K14396
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
谷内 恵介 高知大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (50626869)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 膵臓学 / 膵癌 / エクソソーム / 核酸診断マーカー |
研究実績の概要 |
臨床で用いられている膵がん診断マーカーとして最も特異性の高いCA19-9は、早期膵がんを含む小さな膵がんの診断には感度が低く有用性はない。したがって、膵がんを感度よく特異的に診断することのできる新たな診断マーカーの同定とその詳細な生化学的解析が必須である。研究代表者の同定した9種類のmRNAを対象にして、膵がん20症例の血清を用いてOne-step real-time RT-PCR法により定量検出を行った。コントロールとして、IPMN10症例、慢性膵炎10症例、および膵疾患を認めない疾患群30症例の合計50症例の血清を用いた。すべての症例とコントロール群においてCA19-9測定を同時に行い、mRNAのreal-time RT-PCRによる検出率と比較した。その結果、9種類のうち4種類のmRNAが感度・特異性においてCA19-9と同等以上に膵がんを診断することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成27年度には探索目的の臨床試験を終えることを目標としていた。目標通り探索試験を終了することができ、CA19-9より膵癌診断能の勝る4種類のmRNAを絞り込むことができた。この結果を検証するために、平成28年3月までに検証目的の新たな臨床試験の承認を得ることができた。当初は実現が数年先になると思われた検証試験を平成28年度に開始できるので、当初の計画以上に進展させることができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度4月から検証目的の臨床試験を開始し、CA19-9に勝る膵がん診断マーカーの同定を目標にする。 また、膵がん細胞に形成された細胞膜突起部からmRNAが排出される機序の解析を行うことにより、基礎研究の研究成果の蓄積に努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
探索目的の臨床試験が順調に推移し早期に終了できたため、予定よりも少ない症例数で試験を終了できた。このため、エキソソーム精製キットやリアルタイムRT-PCRキットなどの消耗品経費の追加購入の必要がなく、使用中の試薬と消耗品で対応できた。
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次年度使用額の使用計画 |
検証目的の臨床試験とエキソソーム関連の膵癌細胞を用いた基礎研究を実施する予定である。検証試験では、多くの症例数でサンプリングと測定を実施する必要があり、新たなエキソソーム精製キットとリアルタイムRT-PCRキットが必要となる。基礎研究の経費に対しても、今年度と昨年度の研究費を使用して新たな膵がん診断マーカーの同定と基礎医学的なデータの蓄積に努める。
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