研究実績の概要 |
以下の研究成果を得た。(1)ELAS1と同等な阻害効果をもつペプチドを化学合成して試験した。具体的にはELAS1の長さを、29アミノ酸から、どこまで短くできるかを調べた。そのために、ELAS1をN末端側から徐々に削った、22, 18, 14, 10, 9, 8, 6, 4, 2アミノ酸数からなるペプチドを化学合成して、培養昆虫細胞からの抽出液を基に作成されているTNT無細胞発現系を使って調製したMyc-CycG1とGST-PP2A-B’γとの結合を調べたところ、10アミノ酸数からなるELAS1ペプチドまでが結合阻害効果を持つことが判明した。そこで、これをELAS1_T(ten)と命名した。次いで、ELAS1_TをC末端側から徐々に削って、9, 8, 7, 6,5アミノ酸数からなるELAS1_Tペプチドを化学合成して、TNT_Myc-CycG1とGST-PP2A-B’γとの結合を調べたところ、ELAS1_T7が大きな阻害効果を持つが、ELAS1_T6とELAS1_T5はほとんど阻害効果を示さないことが分かった(2)肉腫細胞(U2OS)以外に、腺癌の一種である前立腺癌細胞(DU145)においてもELAS1は同等なアポトーシス誘導能を持つか否かFACS解析したところ、アポトーシスの指標である Sub G1の増加が観察された。DNA二重鎖切断を起こす抗癌剤であるIrinotecanを細胞培養液に添加した場合でもSub G1の増加が観察された。(3)扁平上皮癌の一種である舌癌(SAS)においても調べるため、Myc-VectorまたはMyc-ELAS1プラスミドを個別にDox誘導発現する細胞株を2種類(SAS_Myc-Vector、SAS_Myc-ELAS1)樹立した。
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