研究課題
DU145 (前立腺癌細胞) とSAS (舌癌細胞)および正常線維芽細胞(KD)を使用以下の研究成果を得た。(1) KD 細胞ではELAS1 はアポトーシス誘導を示さなかった。この結果はELAS1 が癌細胞に対してのみアポトーシス誘導を起こす安全性の高いペプチド薬剤として有用であることを示唆する。(2) Myc-ELAS1 を発現したDU145 細胞 (DU145-ELAS1) はMyc-vector を発現した細胞 (DU145-vector) に比べ、γ 線やCPTによるDSB 刺激によってアポトーシスを引き起こしていたのに対し、Myc-ELAS1 が発現しているSAS (SAS-ELAS1) 細胞はアポトーシスを引き起こさなかった。この理由はSAS 細胞は変異型TP53 のみを有しているためである。しかし、外部からMyc-p53 プラスミドを導入した結果、γ 線照射 (10 Gy) 後にアポトーシスが誘導されたことから、ELAS1 は変異した TP53 を保有する癌患者に対しても有効であることが示唆された。(3) 約100万個のSAS-ELAS1 またはSAS-vec 細胞をヌードマウスの舌に移植すると、SAS-ELAS1 を移植したマウスはSAS-vec を移植したマウスよりも長く生存したことはELAS1 がマウス個体においても有効であり臨床応用における有効性を強く示唆する。(4) IRES1 システムを介して Myc-ELAS1 とFlag-p53 の両方を発現するアデノウイルスを作製し、SAS 細胞に感染させてCamptothecin によりDNA二重鎖切断を誘起すると、ウイルス感染した細胞では感染していない細胞に比べて多くの細胞が死んでいた。この結果はELAS1の臨床応用において オンコリティックウイルスを用いた癌遺伝子治療が有効であることを示唆する。
すべて 2016 その他
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)
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