研究課題
コアフコースはフコース転移酵素(Fut8)により生合成され、肝がんの特異的バイオマーカーや抗体医療とも深く関わっており、注目されている糖鎖の一つである。また、コアフコースの発現は、多くのがん細胞や組織において上昇すると報告されているが、その意義に関しては全く不明である。本研究は、申請者自身の新規知見を踏まえ、コアフコースを注目することで、がん細胞増殖、浸潤と転移に深く関わる因子が一同に制御することができ、コアフコースの生合成を抑えれば、多くのがんを抑制できるかという挑戦的課題である。本研究の期間では、申請者らは、初めてコアフコースが肝再生や肝がん形成に重要な役割を果たすことを証明した。特に、コアフコースによるEGFRやc-Metなど受容体とリガンドとの相互作用や受容体を介したシグナル伝達の調節に関した分子機構を解明した。また、膵がんと大腸がん細胞におけるコアフコースの機能を解明しつつである。さらに、肝癌細胞をある小化合物を処理することよってコアフコースの発現が劇的に抑えられ、そして細胞の増殖能や細胞の浸潤性が抑制されることを見出した。その抑制効果は、ヌードマウスを用いて腫瘍形成のモデルでも確認された(論文投稿中)。本研究の最終目標は、がん細胞におけるコアフコースの発現およびその意義を解明すること、特にコアフコースの生合成を制御することによって多くのがんを抑制するかを解析し、新規ながん治療法の開発に繋げるところにある。
すべて 2017 2016 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 3件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 1件、 招待講演 4件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件)
Biochim Biophys Acta
巻: 1861 ページ: 1036-1045
doi: 10.1016/j.bbagen.2017.02.014.
巻: 1861 ページ: 3106-3118
doi: 10.1016/j.bbagen.2016.10.015.
Mol Cell Biol.
巻: 37 ページ: 印刷中
doi: 10.1128/MCB.00558-16.
Tumour Biol.
巻: 37 ページ: 10763-73
doi: 10.1007/s13277-016-4965-6.
Sci Rep.
巻: 10 ページ: 1-15
doi: 10.1038/srep33507
Mol Aspects Med.
巻: 16 ページ: 30021-8
doi: 10.1016/j.mam.2016.04.008.
FASEB J.
巻: 30 ページ: 4120-4131
http://www.tohoku-mpu.ac.jp/laboratory/drg/index.html