応用微生物学や合成生物学における研究成果の医療応用は安全性の観点からハードルが高く、環境問題や食糧問題などが主たる応用の対象であった。しかし、高価なバイオ医薬品の登場や高齢化社会の到来による医療費の高騰に対し、遺伝子改変細菌などを利用した診断や治療は、非常に安価な医療を提供できると考えられる。本研究では、標的細胞親和性リガンドや細胞傷害性タンパクなどの遺伝子で大腸菌を形質転換することで、治療用細菌マシンを作製し、その生体内・細胞内分布や機能を評価した。こうした知見は、安全で治療効果の高いがん治療用細菌マシンの開発戦略の一つになるものと期待される。
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