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2015 年度 実施状況報告書

包括的手法によるがん治療の新規放射線増感法の研究

研究課題

研究課題/領域番号 15K14416
研究機関長崎大学

研究代表者

益谷 美都子  長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (60238904)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワードradiosensitization / DNMT3B / HP1beta / gamma H2AX / gamma-irradiation
研究実績の概要

放射線治療では物理的精度の向上により肺がん等において治療成績が向上している。低侵襲性という面からも今後、放射線治療の大きな増加が見込まれる。一方、放射線治療の増感剤としては低酸素増感剤等が検討されているが、臨床に定着した増感剤はほとんどない。腫瘍局所での増感が達成できれば、照射線量を減少させ、再発時にも十分再照射ができるなど、局所制御率の向上につながる。shRNAライブラリーを用いた独自の放射線増感剤の網羅的スクリーニングを行い、HeLa細胞において、ノックダウンにより放射線増感を示す遺伝子標的として、DNAメチル化転移酵素 DNMT3Bを見出した。DNMT3Bの機能阻害により、HeLa以外に A549, 及びHCT116細胞株 においてもガンマ線照射に対して増感効果を認めた。DNMT3Bの機能阻害によりガンマ線照射後のHP1β、γH2AX、Rad51 のfoci形成が減少した。DNMT3Bの機能阻害下ではDNMT3B -HP1βの相互作用が低下し、ガンマ線照射後ΤP63、ΒΑX、PUMA、ΝΟXΑの発現が誘導された。DNMT3Bの機能阻害下で放射線増感が起きる機構として、HP1β とγH2AXのfoci形成不全が重要であることが示された。DNMT3Bのノックダウンを行ったA549細胞ではマウスのxenograftモデルにおいて放射線増感効果が認められた。DNMT3B遺伝子はがんでしばしば過剰発現を示すことから、DNMT3B阻害剤は放射線増感の標的の候補となりうると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成27年度の研究計画に従って、がん細胞株についてshRNAライブラリーを用いた独自の放射線増感剤の網羅的探索系を用いて得られた候補遺伝子について放射線増感の検証と作用機構の解析が行え、xenograftモデルにおいても放射線増感効果を確認でき、放射線増感の標的候補1つを見出せたところであり、本年度の計画をほぼ達成できた。

今後の研究の推進方策

DNMT3Bの含まれる「増感標的クラスター」についてその意義を検討し、クラスター内の増感標的候補の意義を検討する。また、shRNAライブラリーを用いた網羅的探索系からの他の増感候補遺伝子について文献情報などで絞り込み、検証を行い、臨床的意義の高い、より有用な放射線増感標的を同定する。

次年度使用額が生じた理由

円の通貨構造の性質上、避けられない余剰として発生したものである。

次年度使用額の使用計画

物品費等に計上する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件)

  • [雑誌論文] A comprehensive analysis of radiosensitization targets; functional inhibition of DNA methyltransferase 3B radiosensitizes by disrupting DNA damage regulation2015

    • 著者名/発表者名
      1. Fujimori H, Sato A, Kikuhara S, Wang J, Hirai T, Murakami Y, Okayasu R, Masutani M
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 5 ページ: 18231

    • DOI

      10.1038/srep18231

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり

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公開日: 2017-01-06  

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