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2015 年度 実施状況報告書

ヒト内在性レトロウィルスに由来する獲得遺伝子の探索

研究課題

研究課題/領域番号 15K14422
研究機関東海大学

研究代表者

石野 知子 (金児知子)  東海大学, 健康科学部, 教授 (20221757)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワード内在性レトロウィルス / Gag / ヒトゲノム / ORF / 霊長類
研究実績の概要

ヒトゲノムの8 %は、内在性レトロウィルス(HERV:human endogenous retrovirus)とLTRレトロトランスポゾンによって占められている。数千個におよぶHERVの大部分はGag、Pol、Env遺伝子の突然変異によりレトロウィルスとしての機能を失っている。しかし、変異により短いORF(open reading frame)となった場合でも、ヒト、チンパンジー、ゴリラなどで、その構造が高度に保存されるものは、新規の機能を獲得し遺伝子として機能している可能性がある。そこで、ヒトゲノムに存在するHERV由来の新規候補遺伝子の網羅的探索を行なうことを計画し、以下ような研究を進めた。
1)HERVのGag由来の候補遺伝子の探索には、それぞれのHERVのGagの標準配列をqueryとしてNCBIのTBLASTNによりアミノ酸配列としてヒトゲノムを探索し、100 a.a.以上のタンパク質をコードするORFがとれるDNA配列の候補のリストを作成した。
2)リストから遺伝子候補を選び、霊長類でもよりヒトに近い真猿類における保存性を確認した。ヒト相同候補遺伝子がチンパンジー、ゴリラ、オラウータン、ヒヒ、マカクの相同遺伝子上に存在するかどうかで、ゲノムへの挿入時期を決定し、さらにこれら相同遺伝子コードするタンパク質のORFの保存性を確認した。
3)これらのヒト候補遺伝子の一部について各臓器における遺伝子発現の有無を、データベース上のマイクロアレイや次世代シーケンスによる遺伝子発現データも参考にしながら、RT-PCRにより実際に発現の有無とそのレベルを確認した。
4)候補遺伝子の予想されるタンパク質に対する抗体をアミノ酸配列の情報から作製している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

おおむね27年度の研究計画どおりに進行している。数多くの候補遺伝子がリスト化できたが、実際にヒトのサンプルで発現を確認する実験へは少数を選び、実験のストラテジーの確立を進めている。当初の計画では、RT-PCRで発現を網羅的に確認する予定だったが、まず少数の候補遺伝子に対して予想されるアミノ酸は配列に対する抗体を作製し、ヒトのサンプル中でタンパク質となっていることも確認することにした。

今後の研究の推進方策

1)HERV Gag候補について抗体を用いて、ORFとしてタンパク質を発現していることを確認することにより、実験のストラテジーを確立する。
2)HERVのPol、Env遺伝子へ研究を拡張し、これらの遺伝子についても候補遺伝子リストを作成する。
3)同一のHERVにおけるGag、Pol、Env遺伝子の変異率とゲノムへの挿入時期との一致度を計算し、候補として残ったORFが有意に高い保存性をもつかどうかを再検討する。

次年度使用額が生じた理由

候補遺伝子に対して抗体を作製し、それを用いてヒトサンプルでのタンパク質の発言まで確認も行うことにしたため、今後作成予定の抗体の費用として次年度に回した。

次年度使用額の使用計画

差額は抗体作製費(外注)として使用する予定である。

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公開日: 2017-01-06  

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